Jazzピアニスト石井彰(Akira Ishii)の気まぐれな日記Blog
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『Quadrangle』
石井彰(p)石井智大(vn,vc)水谷浩章(b)池長一美(ds)
のNew CD 『Uchronia』の発売から2ヶ月が経ちました。
コツコツとライブ会場で販売し、手に取ってくださる人も多く、感謝致します。各地のショップで販売できないのが残念ではありますが、我がレーベル「Fenice Recordings」では通販のサイトがございます。
こちらもチェックしていただけたらと思います。第二弾作品『Hyperbolic/石井家Duo』もこちらからお買い求め頂けます。
さて、5月10日にギタリストの大友良英さんがパーソナリティを務めてらっしゃいます、NHK FMの『ジャズ・トゥナイト』のオンエアに、『Quadrangle』の1st アルバム『Uchronia』より僕のオリジナルの表題曲と池長一美作曲の"Rain"を取り上げて頂きました。
この番組の選曲の決定権は大友さんにはなく、番組スタッフの意向で決まるそうです。NHKにお手紙とCDを送り、あとは待つのみでした。送った直後に大友さんから「いただいたCD聴いていますが素晴らしい!!」とだけメッセージをいただきましたが、オンエアするよなどというお知らせは全くなく、ほぼ諦めておりましたが、母の日特集の後半で取り上げて頂いたのをオンエアで知るという!!!
FMでオンエアされる自分の音楽を聴き、改めてQuadrangleの底力、個性が再認識されました。
水谷浩章の秘めたる闘志から生まれるなんとも言えないピアニッシモ。池長一美の空間をデザインし操る美学、石井智大の清々しくもマニアックに洗練された音色。これらがあってのQuadrangleなのだなあとしみじみと感じたのです。我ながら素晴らしいバンドだなと自負しています。
番組の中で大友さんの"これは名盤だ!"というありがたいお言葉に涙しました。年齢と共に音楽が深まっていくということも言われ、恐縮してしまいました。
自分の音楽は派手さはないかもしれませんが、音の美しさ、静なるパワー、深い精神性を追い求めている僕にとって病気による手足の筋力の衰えはさほど影響がないし、むしろ何か大きな力からのメッセージをもらって動かされていると感じています。
そんなことを面と向かって公共放送で行ってくださることは光栄すぎることでした。嬉しさを噛み締めながらシェアします。
今度の水曜日5月14日の16時から再放送、そして聴き逃しチェック(5/18まで)まだまだできますので、どうぞお聴きくださいませ。
そして次の『Quadrangle』のライブは、
7月24日(木) 新宿『Pit Inn』で行われます。ぜひいらして頂きたいです。
バルト三国のラトビアという国をご存知だろうか。
西側がバルト海に面し、北側はエストニア、さらに北の方にフィンランド、南側はリトアニア、バルト海を挟んでさらに西側がスウェーデン。東側はロシア。
歴史的にいうと1991年までソ連に占領されていた。現在はNATO、EU加盟国である。
海に面し、森林も多く、街並みも古い〜といっても先の大戦でかなり市街地が破壊されたので戦後復興で古い街並みを再現したらしい。首都はリガ。北ヨーロッパの美しい国だ。
とはいっても全くと言ってもいいほど知らぬ国。
この、遠く未知の国から大阪に3人のミュージシャンがやって来た。
ことの始まりは、昨年6月に突然Facebookを通して一人のラトビアのミュージシャンからメールが届いた。
「大阪音楽大学を訪問し、大阪でいくつかのコンサートを行いたいが、あなたや大阪音大は興味をお持ちか?」という内容でした。変ないい加減な人からの失礼なメッセージも届く中、直感的にこのラトビアの方に興味を持ちました。そして10ヶ月にわたるメールでのやり取りが始まりました。
Jachin Edward Pousson
さん。
作曲家、ミュージシャン(ドラマー)、Jāzeps Vītolsラトビア音楽アカデミー(JVLMA)研究員、楽器のデザイナー。さらに、映画製作者、アニメーター、ゲームデザイナー、作家、ビジュアルアーティスト、ダンサー、振付師とのコラボレーションも行う、多才なアーティストである。
彼は"Enadless Roar"という即興グループを率いて来日し、大阪に滞在しいくつかのコンサートと我が大阪音楽大学での特別講義とコンサートを持ちたいと。僕は大学のことに対する決定権はないので、ここまでの経緯を大学に伝えると、二つ返事で了解してくれたのだった。
その決め手は、"Brain-Computer Music Interface"という技術の研究開発を行っている人で、そのデモンストレーションも行いたいという申し入れに大学側も反応したのだろう。
この聞いたことも見たこともないシステムを我が大学で実現するための会場、機材、日程、通訳の手配、などなどほぼ全て私の指示で大学側に動いてもらった。私が大阪にいれば現場での指示など動き回れるのだが、遠隔操作には時間がかかり、うまく連携が取れずに非常に困難な準備期間であった。
まあそういう大変なことはしっかりと乗り越えることができて、4月の22日に大阪に"Enadless Roar"はやってきた。22日にはクラシックのサックスコースへの特別レッスンが行われた。
24日の朝から学生食堂「ぱうぜ」の2回にある会場でセッティングとリハーサル、打ち合わせが行われ、とうとう本番を迎えたのであった。
“Endless Roar”は、ノイズというジャンルの中で構想され、アンビエント・ドローン、ポスト・ロック、フリージャズを経て、現在の「フリー・インプロヴィゼーション」の形へと進化してきた。近年では、ルーパーやエフェクト・ペダル、シンセサイザー、ノイズ・シェイパー、エレキギターなどを使用し、表現の幅を広げている。
メンバーはサックスがArvydas Kazlauskasさん、ベーシストがStanislav Yudinさん。
特別講義の内容は次のとおり。
・フリージャズの歴史と主要な方法論
・演奏における「グループ・フロー状態」の解説
・BCMI(Brain-Computer Music Interface)による脳波の可視化とその応用の可能性
講義では、Ornette Coleman(as)、John Coltrane(ts)、Sunny Murray(ds)、Anthony Braxton(as)、Evan Parker(ts)などの演奏例やそのアプローチが紹介された。さらに驚くべきことに、日本の1960〜70年代におけるフリージャズへの造詣も深く、高木元輝(ts)、吉沢元治(b)、山下洋輔(p)、阿部薫(as)、冨樫雅彦(ds)、高柳昌之(b)、沖至(tp)らの演奏・思想も研究されていた。Jachin氏は、日本独自のフリージャズが世界的にも特筆すべき存在であると絶賛しておられた。
また、彼らが提唱する方法論を個別項目として図解で示し、実践に取り入れやすいようにしていた点も非常に印象的であった。
Silence(沈黙)
Color(音色)
Speech(フレーズ)
Pulse(脈)
Texture(質感)
Juxtapose(並列)
Support(同意)
Mirror(鏡)
Solo(ソロ)
これらの要素を意識してコントロールすることにより即興演奏の指針を明確に示し、それをルーレットのような図で示しゲーム感覚で学生達に体験させたことは、とても喜ばしい成果があった。
「フロー状態」という概念は、人がある活動に深く集中し、完全に没頭している状態を指す。日本語では「没頭状態」や「ゾーンに入る」などと表現されることもある。
演奏時において、挑戦とスキルの最適なバランス〜自分の能力に見合った、やや高めの課題に取り組むと良いと思う〜がフロー状態に入りやすいとの事。
このような状態への入り方を意識することで、個人としてもグループとしてもフロー状態に入ることの難しさは大きく軽減される。この考えを短時間で的確に伝え、自ら模範演奏を通じて実演し、さらに学生たちにも体験させて証明してみせたことは、Jachin Pousson 氏の卓越した教育者としての力量を物語っていました。
Brain-Computer Music Interface(BCMI)のデモンストレーションは、最も長い時間をかけて準備されました。Jachin氏が開発研究しているこのシステムは氏の公式ホームページには以下のように記されている。
「この研究は、リアルタイムの音楽的インタラクションのために、人間の脳波信号を利用するツールの開発を目的としている。ここ数年、私は神経科学者やビジュアル・アーティストと協力し、ライブ・パフォーマンスにおいて、ミュージシャンが脳波信号を使って音楽やビジュアルメディアをコントロールできるBCMI(Brain-Computer Music Interface)システムの開発に取り組んできた。
BCMIシステムは、脳波計のハードウェアと、ユーザーの脳波を受信・フィルタリング・デコードするソフトウェアを実行するコンピュータで構成されており、これらをマッピングして、音楽や映像のパラメーターをリアルタイムで操作する。以下に掲載されている動画では、さまざまなソリューションの調査・テスト・実演のプロセスが記録されている。
この研究プロジェクト内で開発されたBCMIシステムは、高覚醒状態と低覚醒状態という対照的な演奏者の状態に基づき、演奏の表現意図を読み取る仕組みとなっている。これは、感情的に中立な音楽演奏と、感情的に表現豊かな演奏における脳波のスペクトルパワーを比較・特徴づけることで実現された。
今後のステップとしては、これらのツールを複数ユーザー対応に拡張し、共同創作における脳間ダイナミクスを活用することで、没入型のマルチメディア操作を可能にすることが目指されている。言い換えれば、共有された脳の活動が、芸術の創造や体験において新たな役割を果たすということである。さらにこれを発展させることで、BCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェイス)やヒューマン・マシン・インタラクションの広範な分野におけるソリューションにつながり、将来的には“マインド・ツー・マインド”の直接的なコミュニケーションネットワークの実現にも近づくであろう。」
この日の特別講義とミニコンサートは即興演奏の実践に費やされたので、我々が初めて目の当たりにした脳波で照明をコントロールするこのシステムを深く知る事はできませんでした。しかし、この序章は、我が国や本校にとって、新たな目標であり、また重要な課題を提示してくれるものであったと思います。
実は、翌日の午後に私は心斎橋のスタジオでJachin氏とともに、個人的にBCMIを体験させていただきました。8個のセンサーが装着されたヘッドギアを頭に取り付け、脳波を測定・信号処理を行い、特定の脳波のパターンや強度を検出。そして、その検出された脳波の特性を、パソコン内の音源ソフトや照明コントロールソフトへ制御信号として変換・出力する仕組み。
このセッションでは、脳波データを可視化し、音源モジュールへと出力した。脳波測定の際には以下の2つの脳波に注目しました。
・リラックス状態、閉眼時、瞑想中、創造的思考の際に出現するアルファ波およびシータ波
・覚醒時・集中時に出現するベータ波
これらを意識しながら、ピアノによる短い即興演奏を行った。明らかに意識の切り替えがデータに表れ、それが可視化されたことで、ティンパニを中心とした打楽器的ノイズを発する音源ソフトからの音を実際に聴くことができた。
また、「演奏せずに」意識によって脳波をコントロールできるかどうかという実験も行い、演奏時と同様の脳波の変化を再現できることが確認できました。頭の中で音楽を思い描きながら演奏している時の感情の起伏は、ある程度コントロールできることが分かり、非常に大きな収穫となりました。これは訓練次第でかなり精度を上げることも可能です。
このように二日間に渡ってJachin Pousson、Arvydas Kazlauskas、Stanislav Yudinこの三氏との出来事は大きな驚きと共感、そして友好関係を築くことができました。この三氏に大いなる感謝の意を表したいと思います。そして改めまして、大阪音楽大学のジャズコースの先生方、学務事務部門の梅澤修一様、そして素晴らしい通訳をしてくださった大阪音楽大学元特任教授中尾園子先生に、心より深く感謝申し上げます。
いつの日か今回のことがきっかけとなりラトビアと日本の文化交流が深まることを願って止みません。
この日の模様をyoutube動画にまとめました。どうぞご覧くださいませ!!
Jachin PoussonさんのHP
Arvydas KazlauskasさんのHP
Stanislav Yudinさんの情報
4月に入ったというのにこの寒さ。。花冷え🌸
言葉は素敵ですが、体調狂っちゃいますね。皆様はお元気でお過ごしでしょうか。私も特に体調崩すこともなく、急がない歩みで日々の小さな喜びを一つずつ集めていく~という感じの人生の旅路を歩んでいます。
ちょうど1年前のこの桜の頃、大怪我での入院からやっと退院したのでした。それから1年、まだ完璧とは言えませんが、順調に回復しています。
先月のレーベル"Fenice Recordings"の立ち上げ、『Quadrangle』石井彰(p)石井智大(vn,vc)水谷浩章(b)池長一美(ds)の初のアルバム『Uchronia』の発売から1ヶ月。たくさんの方に聴いていただき、メディアでも少しづつ取り上げて頂きじわりじわりと盛り上がっていけばいいなと思っています。
ライブ会場での販売はこれからもずっと続いていきますが、遠くの方で聴いてみたいと思ってらっしゃる方の為に特別通販サイトがございますので、ぜひご利用くださいませ。
ご購入はこちらから:
https://sgfm.jp/f/a36bd79e70f999d22d7f3a8a478e66d5
全曲試聴
https://youtu.be/cIWkr3WaAFM
ラジオでも取り上げて頂いております。
ウィリアムス浩子さんがパーソナリティの「MY Favorite JAZZ」OA中!
静岡放送 毎週月曜 18:30-19:00
福井放送 毎週水曜 15:45-16:25
四国放送 毎週金曜 23:00-23:30
ラジオ福島 毎週日曜 21:00-22:00
radikoタイムフリー
radikoプレミアムなら全国でお聴きいただけます📻
エリア内はradiko、エリア外は
radikoプレミアムで全国でタイムフリーで
お聴きいただけます。
山本郁さんがパーソナリティの『テイスト・オブ・ジャズ 』ラジオNIKKEI(短波)かradikoで
6月1日(日)19時から。
その後1週間、radikoのタイムフリーでお楽しみ頂けます。
『Quadrangle』石井彰(p)石井智大(vn,vc)水谷浩章(b)池長一美(ds)
の次のライブは7月24日(木) 新宿「Pit Inn」にてリリースライブということで行われます。是非とも聴きにいらして下さいませ。
さて、今月は『12本の弦と5人の男』のライブがあります。
4月9日(水) 新宿「Pit Inn」
石井 彰(P)定村史朗(Vln)石井智大(Vln)瀬尾高志(B)芳垣安洋(Ds)
Open19:00 /Start19:30
¥3,300税込 ¥3,000+税(1DRINK付)
"二挺のバイオリン、一挺のコントラバス。そしてピアノ、ドラムス。クラシカルな編成から想像を絶するハードボイルドかつロマンティックなサウンド。JAZZという言葉に収まりきらない5人の男の音楽を感じて頂きたい!!"
そして総合芸術イヴェント『龍神降臨!!Jazz Live in 長昌寺』
と題しまして、とても興味深い企画があります。
4月12日(土) 浅草今戸「長昌寺」
志穂美(ライブペインティング)
石井家Duo 石井智大(vn)&石井彰(p)
13:00 open 14:00 start
チャージ2,500 yen
※お問い合わせ・ご予約 03-3873-0763
(ご予約なしで当日でも大丈夫です)
"龍を描くアーティスト志穂美と石井家Duo 石井智大(vn,vc)石井彰(p)の運命の邂逅。
観音様の眷属である龍と官能的な音楽と観音教との一期一会のセッション!!"
大阪でもトリオのライブ!!バンド名が"Silent Color"に決定!!
4月25日(木) 大阪関目「TEN-ON」
『Silent Color』
山田良夫(b) 芳垣安洋(ds) 石井彰(p)
6:30open 7:00start 予約\3500 当日\4000
※お問い合わせ・ご予約 06-4254-0172
"今から遡ること40年近く。20代の頃から大阪で切磋琢磨して修行してきた仲間であって先輩方。
ベーシストの山田良夫さん、ドラムスの芳垣安洋さん。それぞれの道で30代40代50代を生き抜き、60代の今をまた共に音楽に向き合う。向き合い方も随分変わって来るものです。
この3人で演奏できること、『一念天に通ず』の気持ちで臨みます。"
お馴染みになった世田谷の異空間「工房花屋」でのライブ。今月は〜
4月27日(日) 世田谷用賀「工房花屋」
太田剣(ss,as) 石井彰(p) Duo
16:00 start \4400(税込)(別途 2オーダー)
※お問い合わせ・ご予約 03-3700-0872 mail:hanaya5811@gmail.com
"昨年の10年ぶりの共演以来定期的に演奏するようになったこのデュオ。Silent&Passion!!
落ち着いた対話を、非日常的な素敵な空間でお楽しみ下さい。"
そして、ここ工房花屋にて昨年9月より続けてきたソロピアノプロジェクト「Bill Evansとの対話」ですが、次回6月14日(土)でひとまず最終回となります。是非ラストを見届け、聞き届けて下さい。
6月14日(土) 世田谷用賀「工房花屋」
石井彰 Solo Piano 『Bill Evansとの対話 vol.5』
16:00 start \4400(税込)(別途 2オーダー)
※お問い合わせ・ご予約 03-3700-0872 mail:hanaya5811@gmail.com
私がジャズに向かうきっかけとなったBill Evansともう一度真剣に向き合う事は昨年の入院中に
心に決めた事でした。悔いの無い音楽人生を送るために。
私のyoutubeチャンネルでもBill Evansナンバーやオリジナルの動画をアップしています。どうぞご覧下さいませ。
https://studio.youtube.com/playlist/PL0Uruwrf1Lm0GD8O3ZnfpCs9fioEno1qX/edit
『ご報告とお知らせです。』
皆様、Fenice Recordings代表の石井彰です。と、ご挨拶をできる日がやってきました。一年前にはこんな事が実現するとは思いもよらない状態でした。階段から真っ逆さまに転落し大怪我からの二度の手術〜入院中のベッドの上で悶々とする毎日。
昨年2月21日にレコーディングした『Quadrangle』石井彰(p)石井智大(vn,vc)水谷浩章(b)池長一美(ds)の音源は録りっぱなしで宙に浮いたまま。少しづつ元気になり始めた夏頃からアルバム完成に向けて止まっていた車輪がごとりと音を立てゆっくりと動き出しました。
「四次元的四角形」をイメージしているカルテット「Quadrangle」は6年ほど前に発足しました。ベースの水谷浩章さんとは2、3回セッション経験があるだけだったけどいつかは共に音を共有できる関係になりたいと熱望していた弦の錬金術師とでも言える人。
ドラムスの池長一美さんは40年前の大阪時代からの間柄。衝撃的な初目撃から事あるごとにラブコールを送り、やっとレギュラーとして活動できるようになったドラムの吟遊詩人とでも例えられる人。バイオリンの石井智大は生まれたばかりの30年前からの付き合い(笑)あまりバンドで演奏する事がなかったバイオリンという楽器。しかし、智大がバイオリンを弾いていた事から家でバイオリンの音が鳴っているのは当たり前の事だった。思えば大阪音大作曲科在籍中から弦楽器の曲をよく書いていた。憧れがあったんだと思う。ここでバイオリンをフィーチャーしたカルテットを作った事は必然だったのだろうと思っています。
このバンドでは僕のオリジナルを中心にメンバー皆んなが曲を提供してくれます。
こうして出来たアルバムが『Uchronia』です。
3年ほど前、毎月宿題のように作曲していた。ある女性にインスパイアされて。その女性の名は”マリー”。
愛猫のチンチラシルバー。とは言っても猫を描写した曲ではなく、作曲する大きなモチベーションとなる存在です。そんな曲も収録されています。
そして、水谷浩章と池長一美の作品は奇しくも”雪”と”雨”。「Snow Wishes」と「Rain」。
智大作品は長いことレパートリーになっている「Prophet」。
長々と書きましたが書かずにはいられなかった想いです。
そんなわけで、New Album『Uchronia』発売開始です。
ネット販売特設サイトはこちらです
このアルバム録音して下さったのは、古い付き合いになったPiccolo Audio Worksの松下真也さん。何度も細かい注文に最高の答えを出してくれました。
写真撮影及びレコーディング風景の動画撮影も担当くださった竹下智也さん(竹下智也写真事務所)。この方も日野皓正バンドの頃からの付き合い。尊敬しているフォトグラファーです。
デザイナーは小泉望さん(株式会社MUSTARD)。アルバムアートワークは本業じゃないよと仰りつつ、素敵なパッケージデザインとブックレットを作って下さいました。
こんな素晴らしい方々と作り上げた『Uchronia』是非お聴きいただきたいと思います。
諸事情により当分の間、メンバーから直接ご購入頂くか、特別通販サイトでの販売のみとなります。どうぞ遠くの方もご利用下さい。よろしくお願いいたします。
収録曲
1.Uchronia
2.Eightfold Path
3.Letter to Marie
4. écru
5.Rain
6.TSUYURI
7.Snow Wishes
8.Prophet
9.Uchronia(closing)
Music composed by Akira Ishii
except 5.Kazumi Ikenaga 7.Hiroaki Mizutani 8.Tomohiro Ishii
Quadrangle
石井彰 Akira Ishii / piano
石井智大 Tomohiro Ishii / violin,cello
水谷浩章 Hiroaki Mizutani / bass
池長一美 Kazumi Ikenaga / drums
定価:\3,500(税込)
全曲視聴出来ます。⇩⇩⇩
https://youtu.be/cIWkr3WaAFM
ネットでのご注文はこちら⇩⇩⇩⇩
https://sgfm.jp/f/a36bd79e70f999d22d7f3a8a478e66d5
『Uchronia』〜Quadrangle〜
この曲は2年ほど前に書いた曲で、お気に入りのオリジナル曲のベスト5に入るかなと思います。
ジャズでもクラシックでもない(と自分では思っている)シンプルなメロディー。微妙な転調を繰り返し、
面白いところに辿り着いたらスタート地点の後ろ側だった。。みたいな曲です。
Uchronia
Utopia(理想郷)に呼応するその名(Uchronia)は、「存在しない時間」を意味するのだが、ここでは「時を超えた世界」の意とする。
時という束縛から解き放たれた空間には「過去」や「未来」が存在しない。そこにあるのは「今」が永遠に続く領域。
あらゆる束縛をも意に介さない今の自分とだけ向き合う「時」の姿。
今この時だけは、あらゆるものから解き放たれる理想郷であることを願って。
障の部分だけを短い動画とともに是非ご覧ください。
https://youtu.be/DcXecXYpFTc
この曲が我がレーベル『Fenice Recordings』から発表されるQuadrangleの初作品『Uchronia』の
冒頭を飾る曲です。ぜひ全貌を聴いて頂きたいと思っております。
もう一つ短い動画をどうぞ。
https://youtu.be/xZS1ocG_Z4I
『Eightfold Path』
紡ぎ出される音の道標。
古来より語り継がれる八つの指針に倣い、人生の迷宮から心の平安へと至る道を描く。
解放への祈りと理想を追い求める魂の叫びが交錯する世界。
八つのコードが織り成す旋律は、光へと続く階段を一歩ずつ昇るがごとく響き渡る。
刻々と姿を変えるメロディーが昇華し、希望との邂逅を歓喜の音で描き出す。
『お知らせ』
私、石井彰、自己のレーベルを立ち上げます。
色々あり過ぎた還暦の歳。そこから新しい人生、生き方の象徴として『Fenice Recordings』(フェニーチェ・レコーディングス)と名付けました。不死鳥のように情熱的に表現し続ける自分でありたいという決意を込めて。
どのように『Fenice』が進化、発展、継続していくのかは未知数ですが、自分の音楽を発表していくプラットフォームとして地道に進めていきます。皆様どうぞ宜しくお願いします。
Fenice Recordings 第1作目『Uchronia』(Quadrangle 石井彰(p)石井智大(vn,vc)水谷浩章(b)池長一美(ds) )は3月初めのリリースを予定しております。
3月7日(金)は、「相模女子大学グリーンホール 多目的ホール」にてコンサートです‼️ 張り切って参ります‼️
GREEN&MAPLE SOUND CONNECTION vol.17
【石井彰カルテット”Quadrangle”】
石井彰(p)石井智大(vn)水谷浩章(b)池長一美(ds)
■2025年3月7日(金) 開場18:00/開演18:30
■会場:相模女子大学グリーンホール(相模原市文化会館)多目的ホール
■前売一般4,000円/当日一般4,500円 前売学生2,500円/当日学生3,000円(要学生証提示) 全税込 座席指定 未就学児入場不可
■主催: #メイプルホール (ムーヴィン)
■共催: #公益財団法人相模原市民文化財団
https://hall-net.or.jp/01greenhall/
■お問合せ チケット取扱い
2024. 1/15(水)〜各プレイガイド一般発売中です。
チケットMove :042-742-9999
http://xn--rck5ahu4j2e6b.net/ :http://move-ticket.pia.jp/
相模女子大学グリーンホール、杜のホールはしもと、相模原市民会館の各チケット窓口でもご購入頂けます。
チケットぴあ :0570-02-9999(Pコード:287-150)
ローソンチケット イープラス
メイプルホール :042-751-5011👇
https://maplehall1990.storeinfo.jp/posts/56042539/ 042-742-9999
2025年が明けました。読んで下さる皆さまありがとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い致します。
健康第一、身体が資本とはよく言ったもの。こんなに身を持って痛感するのは初めてです。
身体を大切にして感謝し、無理をしないで前に進む。
これを実践していく年です。巳(へび)には、「新しく産まれてくる」、「将来・未来がある」といった意味
があり、脱皮を繰り返し成長していく。この事もまさに今の自分の気持ちに重なるのです。
自分の音楽を発表していくプラットホームを拡大していく。そして様々なコンテンツを充実していく。
クリエイターとして当たり前のことですが、ミュージシャンは自分の音楽を磨く事に偏重しているな。。。自分もそうだったなと。ライブが生き甲斐だった、忙しくしていてこそミュージシャンだ。なんて本当に思っていた。自分の体調の為に余儀なくされていた事なのだけれど、もっと早くに気づけば。。。
だけど後悔はしていない。30年以上に渡って演奏し続けたからこそ得られたものの大きさは尊い。
これからは違った価値観で音楽を制作して行こう。量より質。広さより深さ。妥協なく行きたいです!
ライブ演奏の活動は、週に1〜2回がベストのような気がしています。現在がそのようなペースを守ってやっています。一つ一つに十分な用意をして臨む。何一つ疎かにせず全力投球。よくプランを練る。
そして、制作活動。中途半端に浮いたままの『Quadrangle』の作品のリリース。これが第一!!
自宅に居ながらにしてレコーディングできるよう機器の扱いをさらに突き詰めていく。
映像とのコラボ。自分の動画コンテンツの充実。新しいプロジェクトのスタート。
たくさんあるなあ!!ワクワクしています!!欲張りと言うほどではないと思います。これから継続して行くべきことの種類はこれだけではありません。時間はたっぷりあります。慌てずにじっくり取り組んでいきたいと
思っています。見守って下さい!!応援して下さい!!よろしくお願いします。
年頭における今年の抱負でした。
ライブ告知
1月9日(木) 『リユニオントリオ再び!!』
石井彰(p) 山田良夫(b) 芳垣安洋(ds)
大阪関目『TEN-ON』
18:30 open 19:00 start 予約\3,500 当日\4,000
大阪市旭区高殿7-15-5
06-4254-0172
rxu00261@nifty.com
もう40年も前、3人は大阪でジャズに目覚め、ヤンキーのような眼光で日々研鑽し戦っていた(何と??)
昨年久しぶりも久しぶり、この3人で顔合わせして眼光も和らぎ、身体も弱まったが、音楽への愛の深さが比べ物にならないほどのオッサン3人衆。是非聴いて下さい。ロマンティックなオッサン達です。
1月11日(土)『石井彰Solo Piano』
石井彰(p)
千葉稲毛『Jazz spot CANDY』
14:30 open 15:00 start \4,000(一品付)
葉市稲毛区稲毛東3丁目10−12
jazz_candy-lj@infoseek.jp
毎年恒例の新春独演会。高座ではありませんが、一人気の向くまま、感じるままに独白します。このライブは
1年を占う為にも大切なもの。Keith Jarrettを愛する者が自然と集う場所でもあります。
1月19日(土)『Bill Evansとの対話 vol.3 Bill Evansお気に入りの作曲家。Dearest Friend』
石井彰(p)
世田谷用賀『工房花屋』
16:00 start \4,400
東京都世田谷区上用賀5-8-11
03-3700-0872
昨年から始めたプロジェクトも3回目を迎えます。Bill Evansとがっつり向き合い彼の音楽の真髄へ
アプローチします。今回は彼のお気に入りの作曲家、ミュージシャンの作品を私も取り上げ、演奏します。彼の音楽的好みは私にも間接的に影響を及ぼしているのだなあと痛感します。
1月29日(水)『Three Wisdoms』
小林真由子(箏) 定村史朗(vn) 石井彰(p)
高田馬場『MK TOKYO STUDIO 』
18:30 open 19:00 start \4,000
新宿区下落合1-6-8
お申し込みは私まで。ここにコメントくださって結構です。
箏、ヴァイオリン、ピアノが織りなすオリジナルサウンド。発足当時は双極にジャズメンがチャレンジしたり、ジャズナンバーを箏奏者がチャレンジするという色もの的であったのは否めない。ところがメンバー全員がこのバンドのためだけのオリジナルを作曲しオリジナルなサウンドを求めて行ったのが身を結びつつある。和でもない、ジャズでもない、言葉で言い表せない唯一無二の音。
この他にもライブありますが、まずは主導的でレギュラーバンド的なものをピックアップしました。
今年もあと二週間。
今年ほど、波乱に満ちた年はそうそうあるまいと実感するのです。
作品をこれからは自らの手で世に出すところまでやろう!と、心に決めた年明け。
『Quadrangle』石井彰(p)石井智大(vn,vc)水谷浩章(b)池長一美(ds)
の音を記録し、世に出す。これは自分の中の理想を追い求めた結果であり、言うなれば個人的音楽の
ソロピアノの延長線上にあると言ってもいい。
2月に横浜ランドマークスタジオにて録音。その二日後に事故に遭う。
建物内の階段から落下し、脳天を打ち急性硬膜外血腫で緊急手術から三週間の入院。
一時退院したものの、すぐに入院再手術でさらに二週間。
脳へのダメージは大きかったものの、後遺症は無い。。。と言ったら違うかもしれないが、ほぼ無い。
2月3月は病院で悶々とし、これからの生活への不安、そして音楽活動が出来るのかという不安。
ただでさえ筋肉が弱まる難病を抱えているのに、どうなってしまうのだろうという不安と恐怖。
持ち前のポジティブな気持ちが打ち勝ち、弱気になっても仕方ない、もう一度仕切り直しで
新しい人生のスタートだ。還暦とはそんな時なのかも!と、素直に気持ちを切り替えることが
できた。
桜の頃に退院してからは、2ヶ月は車椅子に頼った生活だったが、毎日の歩行訓練を欠かさず続け、
まずは足からだと。それが功を奏し今では入院前と同じくらいに歩けていると思う。
演奏は復帰後すぐは脳がついて行かないという感覚を初めて感じた。怪我のせいか年のせいなのか、
ふとわからなくなること、考えると頭が重くなること、眩暈が起こること。焦りが。。。。
しかし、焦ってもしょうがない。出来ることだけを少しづつやるだけだ。
このような事たちは、時間が解決してくれた。いろんな事がリセットされ、流され、大切なもの、真実が
くっきりと見え、進むべき道やるべき事、やりたい事がはっきりしてきた。
偉そうな言い方をすれば悟った。後は進むだけだ。自分で言うのもなんだが、有言実行タイプなので
思いついたことを後回しにせず、やってしまわないと済まない性分なのはありがたいことなのだろうな。
『覚醒と決意。そして感謝』
これが今年を表す言葉。そして未来に携えて行く言葉になるんだなあ。
年終いの刻の想いを書き記しました。ありがとうございます。
来年は、意欲的に創作して行く。これをモットーに活動します。
そして、演奏は数を抑え濃いものを発信して行く。
後わずかな2024年の演奏はあと3回。聴きに来てくださると嬉しいです。
12月18日(水) 『FJ's』中目黒or祐天寺
『Aska Maret(kaneko) with friends vol.16』
マレー(金子)飛鳥 (Vn, Vla,Vo)
石井彰(Pf) スペシャルゲスト:石井智大(Vn)
Open 19:00 / Start 19:30
前売 4,000 yen / 当日 4,500 yen (+drink)
※メールでのご予約は info@fjslive.com までお願いします。
1.ご希望の公演日 2.ご希望の公演名 3.お名前(フルネーム)&フリガナ
4.人数 5.お電話番号を送信ください。
折り返し確認のメールをお送りします。 (公演前日23:59まで)
info:FJ’s Tel.03-6303-1214
東京都目黒区中目黒5-1-20
https://fjslive.com/
⭐︎素晴らしいバイオリニストのマレー飛鳥さんと初共演します。風や大地、太陽や月、精霊の声。ジャンルレスな強烈なオリジナリティを持つ素晴らしいアーティスト。デュオで演奏できるのはとても嬉しく楽しみ。そして光栄に思っている。
ゲストには我が息子石井智大が参加。彼も飛鳥さんを尊敬し、交流を持たせて頂いている。タイプの違うバイオリニスト二人と一緒にやるのはどんな事になるのか。
12月21日(土) 世田谷用賀『工房花屋』
TRIO CONCERT
石井彰 piano
石井智大 violin
玉置玲奈 vocal
open16:00 start 17:00
music charge \4400(税込)(別途 2オーダー)
世田谷区上用賀5-8-11
03-3700-0872
⭐︎年のクリスマスはスペシャルユニットでコンサート行います🎄🎵🎹世田谷の異空間、天上の音。「工房花屋」で心温まる音楽をお届けしたいと思います。今年はたくさんのライブを共にしたバイオリニスト石井智大。9月ポーランドで行われたSeifert Competitionに於いて3位受賞し逞しさが溢れてきて頼もしい息子です。そして初共演の素敵な歌姫をご紹介します。玉置玲奈さんです。彼女は以前やっていたYouTube「譚歌チャンネル」を沢山サポートして下さいました。譚歌チャンネルコンサートでは司会を務め、番組ではナレーションもやって下さいました。素敵なお声をお耳にされた事あるかと思います。彼女の癒されるVoice、チャーミングな歌声是非お聴き頂きたいです。石井家Duoとの初コラボ❣️
いらして頂いたお客様には特別なプレゼント考えています🎁
12月27日(金) 水道橋『壱岐坂Bon Courage』
鈴木良雄&石井彰 デュオ
Yoshio Suzuki &Akira Ishii Duo
鈴木良雄(b) 石井彰(p)
Open 19:00 Start 19:30
一般4,000YEN(Tax in) / シニア割(65YearsOld↑)&学割3,500YEN(Tax in)
東京都文京区本郷1-25-8 SKビル1階
Tel 090-4391-9319 / Mail sesamefujii@gmail.com
⭐︎2024年のライブ締めくくりは、ジャズベースの大御所チンさんこと鈴木良雄さんとのDuo。
あまり演奏する機会がなかったチンさんとスタンダードジャズを中心に心温まる音楽を
お届けしたいと思います。
FUMIO YASUDA「SORA」に寄せて
安田芙充央さん。
とても尊敬する作曲家でありピアニスト。いや尊敬というよそよそしい言葉で語ってはいけない。
僕は昨年リリースされた『凛』という安田芙充央作品集で2台のピアノに参加させて頂き、日本プロ音楽録音賞「ベストパフォーマー賞」という素晴らしい賞を受賞した。大好きな先輩ピアニストであり、おこがましいが同志であり、友人であり、しかし遠い存在の偉人だ。そういった意味で本当に尊敬している方だ。
のっけから熱くなってしまったが、冷静にせねば。
安田芙充央さんの音楽との出会いは、もう15年くらい前かもしれない。僕は写真を撮るのが趣味で見るのも好きだ。森山大道、中平卓馬、細江英公と共に荒木経惟アラーキーさんも好きだった。そんな訳でArakinemaのDVDを手に入れその写真と共に物凄い世界観で作品に凄みというか異彩を放っていて虜になったのが、「安田芙充央」という名前だった。それから月日は流れ、コロナ禍の頃Facebookで友達申請が来た。その名は安田芙充央さん。驚きと嬉しさで舞い上がってしまった。それを機に、その頃やっていたyoutube「譚歌チャンネル」にゲストとしてお招きする事となり初対面のその日に共演を果たした。それは夢のような時間だった。その後、とんとん拍子に話が進み2台ピアノでレコーディングをする事に誘われ、『凛』が生まれた。そのレコーディングは綿密に書かれた非常に高度な技術がなければ弾くことができないような孤高の曲の数々。本当にスケッチだけで自由にやって良い曲など、初めての経験ばかりでやり甲斐しかないし、全てを録音に注ぎ込んだ貴重な時間だった。おっと、また熱くなっている。いかんいかん興奮して動悸が早まっている。
そんな安田芙充央さんの新作が手元に届いた。
FUMIO YASUDA「SORA」
POURQUOI LABEL
POUR-1012
メンバーを見ると、
Fumio Yasuda : Piano, Melodica, Keyboards, Percussions
Joachim Badenhorst:Vocals, Voice, Clarinet, Bass Clarinet, Tenor Sax
Akimuse:Vocals
Nobuyoshi Ino:Acoustic Bass
Dogen Kinowaki:Flute, Alto Flute
Takako Hagiwara:Flute
Asian Art Strings:Strings (Violin I, Violin II, Viola, Cello)
曲のリストは、
1. SORA
2. Sky Lament
3. Fitari
4. Blady
5. Intolerance
6. Lost Era
7. Gig on the Stairs
8. Light in Ruins
9. A Mom’s Place
10. Mahoroba
11. Lucrezia
となっている。
参加ミュージシャンは2019年のアルバム「Forest」のメンバーに2本のフルートと弦楽四重奏が入っている。
「Forest」のサウンドは極めて繊細で危うい、そして力強く美しく、そして儚い音楽で愛聴していた。
ドキドキしながら1曲目表題の「SORA」。
退廃的な美しさを持つビート、様々なノイズのコラージュ。その影からまさかのJoachim Badenhorstのボーカルと空間を切り裂くようなクラリネットの音。そして安田芙充央のMelodicaとアブストラクトなピアノ。その暗の現生世界には明の浄土世界Akimuseのvoiceとstringsが見え隠れする。混沌の世界。カオス。
地上のノイズが消え、明と暗が徐々に重力を無くしくっきりと姿を濃くし、ゆっくり上昇して行く。やがて天界にだけ存在するかのような観音菩薩が蓮の池の佇む世界観が現れる。
「SORA」は空~KU~とも読める。無我や無常の意を表す。この「無と有、否定と肯定」の対比が壮大に表されているのではないかなと筆者は勝手に解釈して聴いた。
思えばアラーキーさんの作品にも「空」がある。死と生のテーマに根源的に向き合っている。
安田芙充央さんの中にも同じ物があるのだなと思う。そして両者は惹かれあって芸術が突発的にスパークしたのだと思っている。「SORA」というワードはとても安田さんにとって重要なのだろう。
2曲目の「Sky Lament」もそうなのだ。空の哀歌。おそらく「SORA」は「Sky Lament」の異形の曲なのではないだろうか。静かな平穏な和音、メロディーは空に登って行くにつれ狂気を帯びてくるClarinetとのimprovisationの後、テーマが戻って来るが初めのテーマより長2度上げられている。二度と同じ世界には戻って来れない。違う人生を生きる為に。
「Fitari」は2つのFluteとオルゴールのような音とピアノで軽快に弾むように奏でられる。
音階的には殆ど琉球音階だが沖縄色は感じない所が面白い。それはある意味メロディの作られ方が機械的シーケンサーで演奏したように感じられるから。それを人力で演奏している木ノ脇道元さんと萩原貴子さんの技量が超絶だからだろう。
「Blady」とはどういう意味だろう。ポーランド語では「青白い」といった意味があるが。。。
本人に聞くとはぐらかされそうではあるが。もし合ってるとしたらまた安田さんの大切なワードであろう「青」だ。名作「Hevenly Blue」の中の表題曲、大好きな曲「Blue Ruins」、「Blue Era」、「Blue Gallery」などまだあるのではないかな。青空の青とは違う青な気がするのは気のせいか。
この曲はSlow BossaのテイストだがPiano、Clarinet、Bassのシンプルな曲かと思いきや、その裏に低い控えめな音で主張するOrgan、Stringsのアバンギャルドな響きがたまらない変態感を出している。これだな安田さんの美学は。
以前こうおっしゃった事があった。「好きな音楽は、あられもなくロマンチックなもの」
安田さんのロマンティックは甘く危険な香りのする麻薬のようなものだと思う。
「 Intolerance」不寛容。不思議なエレクトロニクスなシーケンスの上でAkimuseさんの気まぐれな女性を象徴したかのように聞こえるvoiceが印象的。女性が不寛容な世間を嘆いているのか、こういうタイプの女性は不寛容だ!と振り回されている男性が嘆いているのか?
「Lost Era」失われた時代。異次元からの響きのようなStrings、Bass Clarinetの叫び、そこに打ち込まれるPianoの毅然とした和音の響き。安田芙充央さんの独壇場。この一見相容れないもののミクスチャー。これだ!The 安田芙充央!
「Gig on the Stairs」はアルバム「花曲」ではErnst Reijseger(cello)とサンプリングされた
Accordionとの自由な会話だったが、そのサンプリングされたパートはPianoに代わり、井野信義さんのBassとJoachim BadenhorstのClarinetの対話となった。
「Light in Ruins」廃墟の中の光。どれくらい昔の事だっただろう。まだこの建造物の中で静かにPianoが奏でられていた平穏な時があった。そして何かの騒乱に巻き込まれ廃墟となってしまった古の建造物に静かに足を踏み入れると、差し込む光の中に昔の平穏が幻のように現れるのだった。そこには長く静かな時間の流れがあった。
こんな想像をさせる安田芙充央さんの曲とPianoのタッチは本当に素晴らしい。
その屋敷にはママがいつもいる場所があった。ママの名前は”Monique”。優しく可憐なママはどこかミステリアスな面もあった。僕にふと見せる横顔には寂しさなのか哀しみなのかわからない表情が薄く滲み出ている。僕はママにふと尋ねてみる。。
こんな物語を想像してしまう「A Mom’s Place」大好きです。
「Mahoroba」安らぎを感じる場所。Flute3声とシンプルなPianoで奏でられる。
こういう淡々と自然のように流れるメロディにも安田さんの優しさ、凛とした佇まいが感じられる。「Song of Nenna」のように。
そして「Lucrezia」
「Der Kastanienball」というオペラの為に安田芙充央が作曲したアリア。凌辱された美しい王女の嘆きの歌。この悲しくも美し過ぎる曲がPiano Soloで奏でられるとは。アルバム「Hevenly Blue」の中で弦楽オーケストラとSolo Violinで演奏されたバージョンも好きだが、最も好きなバージョンができたなあ。。。以前にこの曲が死ぬほど好きですと安田さんに話した事覚えていてくださったのかなあ。。と図々しいことも頭をよぎる。
単にピアノソロなだけでなくオーケストレーションされたそれぞれのパートが音色の変化を付けながら絶妙な奥行き、陰影を描く。
アルバムの締め括りがこんなに切ない気持ち、込み上げてくるものがあるのに。。すっきりと終われない。そうだもう一度聴かなきゃ!!
安田芙充央さんはご自身の死生観、狂気を帯びたロマンティシズム、センチメンタル。アバンギャルドな精神。優しくも厳しい信念。これらを持って音楽をされている事は実際にヒシヒシと感じる事があるが、このアルバム「SORA」では、それぞれのバロメーターが振り切っている。
明るくハッピーなアルバムでは決してないのに、この気持ちの良い幸福感はなんなのだろう。
自分の深層心理に無意識に語りかけられ、それに気づかされる事によって動揺し、喜びと悲しみの間で悶絶する自分がいる。危ないのに近づきたくなる。甘い毒。理性が吹っ飛んでいく感じ。
これが安田芙充央さんの魔力なのか。
凄いアルバムを聴かせて頂いて、また勇気が湧いてきた。ありがとうございます、安田さん!!!
怒涛の1ヶ月が終わりました。色んなことがありました。柊というユニットがツアーを終え解散となりました。長きに渡りチャレンジしてきましたが、区切りをつける時が訪れたのでしょう。悔いはありません。
石井智大(vn)とのユニット『石井家Duo』の九州ツアー、今年もみのり多いものとなりました。新作『Quiet Scheme』というCD写真集を携え(アルバムはライブ会場でも通販でもご購入頂けます)、福岡「bar柑」、熊本「ラフカディオ・ホール」、鹿児島「リモネアホール」の3ヶ所公演。9月の終わりにポーランドのクラクフで行われた世界的なジャズバイオリンのコンペティション「Zeifert Competition」で第3位を獲得して来た智大は一回りも二回りも逞しく頼もしいプレーヤーに成長したと感じるプレイを各地で繰り広げました。Duoの音楽は繊細さと大胆さと自由度がどんどん加速するような気分を存分に味わっています。そして今月頭に智大は結婚パーティーを開催し、新しい門出を迎えました。父として幸せな事です。二人の幸せを願い、その平和な気持ちで11月をゆっくり過ごします。気がつけば肌寒い空気。さらに新しい気持ちで前に進んで行きます。
ライブは少なめに、制作活動を中心にして行きたい。これが自分の今の身体の状態を鑑みた最良のやり方だと考えています。youtubeの動画アップもどんどん行きますよ〜皆様チェックしてチャンネル登録よろしくお願いします。
『Akira Ishii 石井彰チャンネル』
そして、関西時代からの旧友ベーシストの山田良夫さんとのレコーディングが始まりました。こちらは時間をかけて丁寧に仕上げて行きたいと思っています。素晴らしいプレーヤーをゲストに迎えて私達のオリジナルによるアルバムを作ります。乞うご期待です!
来年には北海道在住の写真家岩崎量示さんとのコラボ作品を作る計画が進んでいます。素晴らしい「タウシュベツ橋梁」を題材にした作品です。彼は長年、朽ち果てていく幻の橋を撮り続けている方。
そして、2月に録音してある『Quadrangle』の初の作品!!これがリリース元のレーベルの事で時間がかかっており、なかなか前に進んで行きませんが、皆様に聴いて頂きたいの一心で続けています。
さて、9月に第一回目を行った企画『Bill Evansとの対話』は、11月16日土曜日に第二回目を行います。
今回のテーマは「Billシェフ至高のスタンダードアレンジのレシピ」と題しまして、Bill Evansを語るには避けて通ることのできない、スタンダードアレンジ法を色んな角度から見つめ、その魅力的な秘密に迫りたいと思います。ぜひ聴きにいらして下さいね。
11月16日(土)世田谷用賀「工房花屋」
石井彰Solo Piano
『ーBill Evans との対話ー
vol.2 Billシェフ至高のスタンダードアレンジのレシピ』
15:00 open 16:00 start music charge \4400(税込)(別途 2オーダー)
東京都世田谷区上用賀5-8-11
TEL 03-3700-0872 MAIL hanaya5811@gmail.com
今月はライブが3回あります。
11月10日(日)茅ヶ崎「ハスキーズギャラリー」
『石井彰 Solo Piano ~週末ジャズと茅ヶ崎ビールのアフタヌーン~』
13:30 open 14:00 start 予約¥3,500(1drink付き)
TEL 0467-88-1811 MAIL kato@huskys-g.com
11月30日(土) 世田谷用賀「工房花屋」
石井彰(p) 太田剣(sax) Duo
open15:00 start16:00
music charge \4400(税込)(別途 2オーダー)
東京都世田谷区上用賀5-8-11
TEL 03-3700-0872 MAIL hanaya5811@gmail.com
これからは静かで平和な気持ちで音楽を奏でて行きたい。
そういう気持ちでyoutube動画を作りました。ぜひご覧下さいませ❣️
『Peace Piece』~平和のかけら~という曲です。
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