Jazzピアニスト石井彰(Akira Ishii)の気まぐれな日記Blog 十勝帯広にて。
極寒の北海道。
11日、とかち帯広空港に降り立った。気温はマイナス5度。相当覚悟して重装備で行ったのだが、陽射しも暖かく、少々拍子抜け。。。。。。したのは、後々大きな誤りだった事に気づくことになるのだ。
帯広の友人、浦島久氏のお招きで彼の英会話学校でのソロライブ、久しぶりの北海道とジンギスカンと写真を撮れる事で、とても楽しみにしていたのだった。
まずは、昼食。ジンギスカンで腹ごしらえということで、その名もそのまま「北海道」というお店で、美味しい羊ちゃんを頂いた。
ホテルでシャワーを浴びて、ジンギスカン臭にまみれた体、頭を洗い、さっぱりとして、会場の「ジョイ.イングリッシュ.アカデミー」へ。想像していたのと違い、アンティーク調で落ち着いたインテリアで統一された部屋。学校のホールというより、とても広い応接間といった感じ。アップライトだが良いサウンドのピアノも部屋にマッチしている。
この寒い中、沢山のお客さんで満員の会場はまさにアットホームなで暖かい空気に満ちている。
ライブ後半では、浦島氏の写真作品をスライドで映し出し、それに合わせて弾くという試みも。そして、地元ピアニスト藤原志津花さんの飛び入りしての連弾ありと、バラエティに富んで楽しいライブとなりました。
会場を手早く片付け、近くのラーメン屋さんで軽く食事をして、もの凄い早い時間にお開き。
実は翌日夜明け前に写真を撮りに行くのが、今回の最重要ミッションなのだ。
浦島久氏のお父様は、十勝の風景を撮り続けたカメラマン。以前からCDを聞いて頂いていて、メールのやり取りをしていた仲だったが、亡くなったお父様の写真展が銀座で開催された際に見に行き、そこでお会いしたのが浦島氏との交友の始まり。7年前にも帯広での「冬の十勝音楽祭」にもトリオで呼んでいただいた。
彼は、その後写真を撮り始め、十勝の風景に魅了され、ある木を撮り続けていて、その作品の素晴らしさを知っていたので、その木のある場所に連れて行ってもらえると決まった時から、この日を心待ちにしていたのだ。
朝5時前に帯広のホテルを出発。なんと浦島氏の友人で先生でもあるカメラマンの戸張良彦さんも同行されるということで、プロのカメラマンからのアドバイスも受けられるとヴォルテージも最高潮。しかし、気温マイナス23度。。。。
まずは、豊頃町の「ハルニレの木」。浦島氏のテリトリーにお邪魔させていただく感じ。写真でしか見たことのない木がすぐそこに!
オーバーズボンと長靴を貸していただき、革手袋、マフラーにスキー帽、ダウンジャケット。重装備にもかかわらず寒さは容赦ない。手の先、つま先、かかと、だんだん感覚が無くなってくる。しかし、空気は清々しく透明感が凄い。
撮影スポットに三脚を設置し、日の出を待つ。白々と夜明けと共に群青色の空が明るくなり、地平線が赤みを帯びてくる。徐々にハルニレの木の姿がはっきりと見えてくる。広い雪原にポツンと140年前からこの景色を見守り続けたハルニレの木。この極寒の空気の中でももの凄い生命力で枝を空に向かって伸ばしている姿に感動!!!雪に足を取られながらも夢中で撮り続ける。太陽がすっかり姿を現し、赤い光が金色になるまでのほんの僅かの時間。至福の時間でした。
興奮覚めやらぬまま、次のスポットである大津浜へ。ここは戸張さんの秘密の撮影スポット。海岸に流氷が流れ着き、一面に氷塊が敷き詰められている。そして、海面には「けあらし」という、水蒸気が立ち上っている。この世とは思えない風景が目の前に広がっている!?何だこれは?自分の目を疑うが現実なのだ。同じ日本なのに、こんなにも自然環境が違うということを目の当たりにすることができて新しい感動が!
これは世界でも珍しい現象だそうで、この流氷のかけらを「ジュエリーアイス」と浦島さんが命名したそうだ。
数時間の内に動き回って撮影し続けて、空腹感も忘れ、指先が全く感覚が無くなっているのも気にせず。ふと気づくと、まだ9時過ぎだ。しかし、寒さと空腹と疲労で頭がぼーっとしてくる。
豊頃町のドーナツやさん「朝日堂」さん宅に朝食をごちそうになりに行く。主の岡本さんは、浦島氏のお父様の写真のお弟子さん。作り立てのドーナツと温かいカレーうどんの朝食で段々正気に戻って来る。
その後、幕別に足を伸ばし、十勝の木を使って器を作っていらっしゃる佐々木要さんの工房にお邪魔して、作業場を見学させていただいた。元小学校だったという工房には材料の木の板から、切り出して丸くカットし、形を整えてお椀や皿、盆になって行く段階が見て取れ、大変興味深い。作品は東京でも展示即売される機会も多いと聞いて、是非次回東京での展示会があった際には見てみたいものです。
さて、昼食は当然ジンギスカン!!日本一美味い!という帯広自慢の「白樺」。その通り、最高に美味しかったです。
そして、午後には有名な「幸福駅」を見学。この駅は旧国鉄広尾線の駅(廃駅)である。広尾線の廃止に伴い1987年に廃止された。可愛らしい駅舎には幸せを願い、ここに来た人達の名刺が辺り一面に張り巡らされ、ちょっとびっくり。しかし、ノスタルジックな雰囲気で和んでしまった。
時間が経つのは速く、今回の十勝撮影ツアーはタイムアップ。夕方の便で帰って来ました。東京の外気に触れた時、暑く感じられたのは気のせいでしょうか?いえ、寒波も去って、春が一歩近づいた証拠でしょう。
今でも脳裏に十勝の素晴らしい風景がはっきりと残っています。来年も是非行きたい。もっとゆっくり時間を取って!!
ハルニレの木、美しいです。
マイナス23度のピーンとした空気と空の色、伝わります。
羊ちゃんも美味しそう!
投稿者 アロマ : 2012年2月14日 13:34
夕べは春の歌を沢山、ありがとうございました!
手がかじかんで痛くなりませんでしたか?
投稿者 Monique : 2012年2月15日 10:48
ジョイでの素敵なコンサートありがとうございました。最前列で拝見拝聴させていただき感動いたしました。十勝いかがでしたか。また是非いらして下さい。お待ちしています。
投稿者 M. Yamakawa : 2012年2月15日 23:34
初めまして、こんにちは♪ 帯広出身のイラストレーター矢戸です。
浦島氏のブログから飛んで来ました。
実は戸張さんとは30年も前に知り合ったという仲ですが、お写真の様な風景には未だ遭遇した事が有りません。
その風景を体験出来た事、まこと羨ましい限りです。
十勝は、本当にイイ所ですよね。
この文章を読んでいたら、今すぐ飛んで帰りたくなってしまいました! (^∇^)/
投稿者 yato : 2012年2月16日 03:45
石井さん、こんにちは。先日はありがとうございました。
ライブの会場スタッフです。学院長ブログより参りました。
「最重要ミッション」
に思わず頬がほころびます。演奏もとても素敵でしたが、「最重要ミッション」ですか(笑)
写真も文章も楽しく拝見させていただきました。
次回はぜひトリオでの演奏も聴いてみたいな、と、あのホールでトリオのアルバムをヘビロテしながら思っています。
その次回は、冬でしょうか? 楽しみにしています!
投稿者 Shinobu@JOY : 2012年2月16日 14:22
皆様ありがとうございました!十勝の感動は未だに残っています。また是非来年ライブが実現できますように!東京に戻ってから、このような感動的な風景は無いことに気づき、このまま写真欲みたいなものが薄れることのほうが心配です。身近にも自分ならではの目線で被写体を見出さねば!
投稿者 石井彰 : 2012年2月17日 01:55
コメント、出遅れてしまいました…
本当に貴重な体験をありがとうございました。
隣で弾いていただいて、リズム、ビート、パワー?などなど、言葉だけではなく、感覚で捉えられたことがたくさんありました!
すぐにものにはならないでしょうが、ひとつずつコツコツやってみます。
写真も、今どんなカメラを買おうか…こちらもいろいろ調査中です。
またお会い出来るのを楽しみにしています。
投稿者 志津花 : 2012年2月19日 00:43
追記
佐々木要さんの息子さん、友人です。
ピアノも弾いているみたいですよ!
投稿者 志津花 : 2012年2月19日 00:45
志津花さま、ありがとうございます。またセッション致しましょう!カメラも楽しみですね。カメラという「道具」で満足しがちな都会の人々ですが、十勝は素晴らしい被写体だらけで羨ましいです。佐々木さんの息子さんもピアニストですか。あの大自然の中で弾けるなら大らかな気持ちになりますね!
投稿者 石井彰 : 2012年2月21日 15:40
写真をやる以上、カメラという道具で満足するでしょうか?
投稿者 A.K : 2012年2月23日 00:27